~防災のDX化実例紹介~
地方にドローンを根付かせ、災害にも役立てる仕組みづくり
第3回 熊本県令和2年7月豪雨 中山間地域の南小国町で43箇所の通報の情報集約が1日半で完了した方法とは!
「日常使いである程度ドローンに慣れ、日頃から役立って、結果、災害時にも使えるのが理想」として、南小国町と締結した「ドローンを活用したまちづくり」協定。防災訓練の翌年におきた「令和2年7豪雨災害」では、調査の手伝いを申し出たところ、職員の方だけで情報集約ができてしまうので「手伝いは大丈夫です」とのお返事をいただきました。想定以上の成果に嬉しさを覚えたと同時に、自分を役立てることができずに少々寂しさを感じたりもしたそうです。
「地方にドローンを根付かせ、災害にも役立てる仕組みづくり」最終回では、南小国町で実際に行った防災訓練についてお伝えします。
◎ 一般社団法人EDAC 理事長 稲田悠樹 ◎
熊本県在住。2015年ドローンの会社を設立。2016年熊本地震、2020年熊本で豪雨災害を体験。ドローンを使った災害調査に参加した経験を活かし、遠隔情報共有システム「Hec-Eye(ヘックアイ)」を監修。自治体を中心に、平時からドローンの活用を提唱する。ドローン関連書籍の執筆多数、NHKにっぽん百名山をはじめTV番組制作参加、企業のPR映像など、ドローン関連システム企画、監修およびテストパイロットと活動は多岐に渡る。
《熊本県南小国町》
南小国町は九州の中央部、熊本県の東北部に位置しています。総面積85%が山林原野で占められる中山間地区であり、緑と水のきれいな観光と農林業を主産業とする人口約4,000人の純農村です。ドローン導入を機に、町内6箇所の好きな場所でドローンを飛ばしながら観光もできる観光誘致を目的とした「ドローン手形」を発行。ドローンを平時から活用し、災害時に役立てています。
訓練がそのまま災害時に役に立った防災訓練とは
― 今までのやり方に新しいことを追加する防災訓練
災害時の情報のとりまとめは、基本的にはホワイトボードに記載される場合が多いと思います。新しいことを取り入れる際にやりがちなのが、そのホワイトボードをなくして、システムだけで運用しようとすることです。よくあるパターンですが、それですと現場サイドは非常に混乱するのが目に見えていますので、日頃のやり方はそのままでいいです、とお伝えしています。
そして、別途、集まってくる情報を入力する人員を一人用意していただきました。お一人だけ入力係として待機していただき、他の方は今まで通りにやってください、というやり方で進めています。
― システムの運用は、いつ、誰が見ても「わかりやすい」ことが大切
南小国町がドローンを導入した時に、地図上にドローンやスマホの情報を貼ることができる遠隔情報共有システム「Hec-Eye(ヘックアイ)」も採用していただきました。このシステムは仕様として機能はいろいろありますが、現場で使いやすいように設定できることがポイントだと思います。通報は赤い色のピン、現場に出動した場合は黄色、完了は青色にしましょう、という非常にわかりやすい設定にしました。
そうすることで、行った場所、行ってない場所が明確にわかるようになります。
システムの機能としては多くの色がありますが、簡単で誰が見てもわかりやすい使い方を決めることが大切だと思います。