欠航続くと鉛筆１本届かず… 離島の生活・教育格差をなくすドローンの可能性

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沖縄県竹富町政策推進課課長補佐兼商工係長横目欣弥

16 の島々で構成されている沖縄県・竹富町。島民の生活物資は船舶での海上輸送に依存しており、悪天候時は供給が難しいという積年の課題があった。離島でも安定した生活を実現すべく、ドローンによる物流インフラの構築と、民間企業による事業運営のシステムを導入する取り組みを追った。

離島の特性から生じる生活環境の格差

― 竹富町の概要と、町が抱える課題を教えてください。

竹富町は、八重山諸島に属する16 の島々（有人島９，無人島７）を擁しており、人口は約4,300人です。町の中では面積の大きな西表島や竹富島、小浜島などリゾート地としての印象もあるかと思いますが、一方で食料や物資を手に入れるのがかなり困難だという島もあります。その一つが鳩間島で、あらゆる物資が１日２便の定期船で届きます。ただ、台風など悪天候で船が欠航になることも多いです。特に北風の強くなる10 月頃から鳩間島はその影響をかなり受け、２月は８割ほどが欠航となります。長いときでは２週間もシケが続いて船が来ない状態が続くこともありました。

― 同じ町内でも、島によって物流に差が出てしまい、生活に影響が出てしまうのですね。

はい。海上輸送が途絶えることを想定して、住民のみなさんは常に食料を保存していますが、例えば学校給食に欠かせない牛乳は保存が難しいので提供がストップします。食料はおろか、子どもたちが学校で使う鉛筆1 本でさえ届くのに1 週間かかってしまいますから、教育や生活において、他の地域との格差が生じているといっても過言ではありません。
また、これは台風等の災害における救援物資にも同じことが言える状況です。そこで「空から輸送してはどうか」と考え、ドローンを活用して物流環境の課題を解決できないかと、その可能性を模索しました。

― ドローンの導入に向け、どのような取り組みをされましたか。

2019 年に「竹富町におけるドローンを活用した物資輸送実証事業」として、内閣府の採択を受けて動き出しました。同年に電波調査を行い、西最大風速13ｍの悪天候時でも物資輸送に成功表島と鳩間島まで６km ほどの距離（時間にして片道10 ～ 20 分ほど）の往復を実施しました。
2020 年には実際に物資を搭載して合計３回の飛行を行うことができました。

（取材日／2021 年5 月17 日）

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